彼らはドイツ圏でもっとも注目したい七人組で、マルクトザックプファイフェというバグパイプのような笛とエレキギター、ベース、ドラムを組み合わせた独特の演奏と、ボーカルのバンド内ではDas letzte Einhorn(最後のユニコーン)と呼ばれるミヒャエルの渋い声を特徴とする。
何よりすごいのは歌詞で、ドイツ語は半分以下、残りは古スウェーデン語やら古ポルトガル語やらラテン語やら。カルミナ・ブラーナからの作品も多いのでオルフのやつを知っている人は馴染み深いだろう。
差し当たってもっとも有名な曲、19世紀の詩人ルートヴィヒ・ウーラントの詩による「Spielmannsfluch(吟遊詩人の呪い)」から訳していこう。
Spielmannsfluch
吟遊詩人の呪い
昔々あるところに王様がおりまして 土地も物も豊かで
玉座に暗鬱に 恐ろしい顔で座っておりました
彼の考えることは恐怖であり 彼のまなざしは憤怒で
彼の言葉は災いであり 彼の書くものそれは血でした
ある日彼のお城に 高貴な吟遊詩人の親子がやって来ました
一人は黒髪 もう一人は白髪でした
灰色の詩人は若者に言いました 「息子よ 準備をするのだ
素晴らしい歌を奏でよう たくさんのメロディーを響かせよう!」
*雨が降る 血の雨が降る
雨が降る 詩人の呪いが降る
二人の詩人は大きな円柱の間で演奏します
玉座には王と王妃がおり
王は血まみれの北欧の主のように華麗で
王妃は太陽の輝きのように美しいのでした
彼らは春を 愛を 聖なる歌を歌います
王妃は哀愁のうちに泣き崩れ しかし喜びに溢れておりました
「貴様らは我が民を惑わすのか 我が妻を欲するのか?」
王は激怒して叫びました その体中を震わせて
*繰り返し
王の剣がきらめいて 若者の胸を貫き
輝く歌の代わりに 血がほとばしりました
若者は師匠の腕の中で 力なくあえいでいます
老人は悲しみから叫び その声は広間を震わせました
「呪われし人殺しよ そなた詩人の呪いを浴びよ
すべての戦は無駄となり 血によって汚されよ
王の名は歌われず 伝記にもならぬ
埋もれ忘れ去られる これこそが詩人の呪いよ」
*繰り返し
この詩は最初は呪いのわりに小さなことだなと理解できなかったのだが、これはつまり権力および暴力に対し言論の力で反抗する、という立場を表した詩なのである。だいぶR指定なところがいかにもメタル系好みとも言えるが。
次に同アルバム「Vererht und Angespien(尊敬され吐き捨てられる)」よりIch Kenne Allesを。この幾分かコミカルな詩はフランスの詩人フランシス・ヴィヨンのものである。
Ich Kenne Alles
私は何でも知っている
古い魚はもう いい臭いはしない
辛い時に人は 楽しかったことを忘れる
グミの木が汗をかくのは 根の病気である
その母と再婚すると 娘は悲しみをこぼす
私はローマを知っている その力を
私は夜中に訪れる 夢を知っている
私は何でも知っている 点から線まで
ただわからないのは 私のことだけ
すべてのベールの後ろに 敬虔さがあるわけではない
坊主はみんな 修道服を着ているというだけだ
召使のように 主人はあらねばならない
四角形は荷車になるが 車輪にはならない
私は愚か者を知っている その崩れた顔を
私はすべての 悲しみの重さを知っている
私は何でも知っている 点から線まで
ただわからないのは 私のことだけ
茨だけではない 薔薇も刺すのだ
忍び足の者 神とも小声で話す
翼は風を掴むが 葉はさにあらず
私は吝嗇家を知っている その歩き方を
私はすべてを奪う 死を知っている
私は衣服に合う 襟を知っている
私は何でも知っている 点から線まで
ただわからないのは 私のことだけ
トリビア的な豆知識の羅列である。当時の感覚がよく現れているのがおかしい。よくこういった詩が見つけられたものだ。
次にアルバムSünder Ohne Zügel(手綱なしの罪人)より表題曲、Lebensbeichteを。
Lebensbeichte
人生の懺悔
沸きたて 我が荒ぶる心よ
怒りの苦しみの中で
軽き存在である私など
空気のように消えねばならぬ
船頭なくして 我が船は進む
鏡のような海を
誰も我に枷をはめることはできず
かんぬきをかけることもできず
私のような者に試してみたところで
手綱なしの罪人とわかるのみだ
心は 本当の私を表し
嵐は 常にどこかへ連れて行く
うわべは嘘をつく もはや故郷へは帰らず
堅い枷 それなら私は一人
飲み屋であるとき 自ずから
死んだように崩れ落ちる
杯にはまだ
私の顔が映る
若さにまかせ 私は遊び回る
悪癖にまみれたやり口で
天使の合唱がそこで
私に祝福を与える
神よ この大酒飲みを罰せよ
彼の罪の故に
心は 本当の私を表し
嵐は 常にどこかへ連れて行く
うわべは嘘をつく もはや故郷へは帰らず
堅い枷 それなら私は一人
なんだかあまり内容がないが、曲のほうは憂愁に満ちた渋いものとなっている。
さて次はアルバムSieben(7)よりSegel Setzen。
Segel Setzen
帆を揚げろ
月が その光を失い
太陽が おまえをもはや暖めない時
小人が 巨人となり
世界が 古き英雄を夢見る時
影が 長い足を伸ばし
憎しみが おまえの息を詰まらせる時
言葉が 心の奥深くで燃え
正気をもはや保てずと感じる時
ならば俺と 旅に出よう
ならば俺と 遠くへ行こう
おまえの夢とともに 連れて行け
歳月が過ぎ去る前に
日が 長くなり
蜘蛛が 巣を作りだした時
すべての言葉が 言い尽くされた時
それは逃げ去る時なのだ
恨みの声が 大きさを増し
誤った音色が 芸術となり
臆病者が 偶像となる時
その時ここに我らの居場所はない
ならば俺と 旅に出よう
ならば俺と 遠くへ行こう
おまえの夢とともに 連れて行け
歳月が過ぎ去る前に
帆を揚げよう
ここから逃げ出そう
おまえを失いたくない
連れ去ってくれてかまわない
連れて行け おまえの夢とともに
帆を揚げよう
ここから逃げ出そう
おまえを失いたくない
連れ去ってくれてかまわない
どうにも後ろ向きな感じであるが、彼らのオリジナル詞は比較的その傾向にある。そういうのを選択しているというのもあるのだが。
ではアルバムMein Rasend Herz(我が荒れ狂う心)よりMacht Und Dummheitを訳してみよう。この詞はなかなかどうして、難解である。
Macht Und Dummheit
力と愚かさ
この世界に来て すでに長い
どんな立場も 気に入っている
王はむさぼり食い 乞食は飢える
売春婦は 天国の前で待ち構える
愚か者として私は 嘲りと不和の種を蒔き
僧侶として私は 救済を望んできた
この脚をはるか遠くまで運んできた
聞け 私の言うことを聞くがよい
決して
私は決して 永遠とはならぬ
決して
愚かさは 私の処刑人にはならぬ
私は様々な 人間を知っている
小さいのも偉大なのも 若いのも年老いたのも
天国では 彼ら未熟者が裁く
従順さを 灼熱が掻き立てる
力と嘘が 真実を押しのける所
愚かさがしばしば 第一歩をなす
地獄こそが 楽園である
年月を重ねた 私の言うことを聞くがよい
決して
私は決して 永遠とはならぬ
決して
愚かさは 私の処刑人にはならぬ
愚鈍が 玉座のひじ掛けを暖め
その矢は 弦にかけられる
発射の準備 私へ腕を伸ばし
私の高慢を呼び起こす そんな真似をする
射手は 汗をたらし震え
ある指示が 彼を待たせる
目を閉じると 彼はそのままで
太陽の輝きが 心を貫き通す
決して
私は決して 永遠とはならぬ
決して
愚かさは 私の処刑人にはならぬ
決して 決して
私は不滅とならないだろう
最後の部分の主語が不明瞭なのだが、たぶんこうであると思える。どういう状況かは想像力が考えることだ。
最新のアルバムSängerkrieg(シンガーウォーズ)から数曲見てみよう。このアルバムでは古詩からの引用も少なく、未知の言語もスペイン語くらいなのだが、それでもよく聞いてみると印象深いものも多かったので、そんな理由もありたくさん訳してみた。
Frei zu Sein
自由であれ
俺には王冠は必要ないし
城も 宝石もいらない
俺の住んでいるところはいつも
俺にとっての故郷となる
俺はならず者だが 自由なんだ
そんな贅沢はみんな 俺のそばを通り過ぎて行った
*自由であることには 必要なことは少ない
自由なやつだけが 王であるんだ
恥も知らずに 厚かましい泥棒は奪う
なぜなら彼は 自らの幸福の鍛え手だから
他のやつが夢見ることを
俺は夜に奪っていこう
俺の歩き方は 婚礼の白馬のよう
恐れを知らぬ王
傭兵たちに守られた
自分だけの神が 俺の天に座る
*繰り返し
一つの卵は 他のには似ていない
多くの人が 確信している
ならず者が七人 同時に音楽を作る
人は自らのやり方で 眠りにつく
Tanz Mit Mir
俺と踊ろう
あまりに多くの 重荷を背負っている
その重さが俺を 地面へ引き倒す
良い日も 悪い日のよう
背中がこすれて 傷となる
世界は穏やかにあり 俺は踊り続ける
毎日の匂いが 鼻についてうんざりだからだ
階段を二段飛ばしで進め
奈落へ続く階段を
でも俺はそんな行いを 後悔はしない
たとえそのために 代償を払うとしても
ただ一度生きろ 俺は待てない
終わりの時まで まっすぐで立っていたいんだ
俺は立ち上がる そして再び倒れる
ずる賢くならず ただ年を取るだけ
そして自らの 体を壊す
すでに一度 壊れている体を
*来いよ 俺と踊ろう 人生のただ中で
誰かが俺を 寂しいと思ってくれるその場所でさ
荷物は重く 心を突き刺す
顔には 汗が吹き出る
そうやって俺は生きてゆく 苦しみとともに
終わりなどは 信じない
俺は立ち上がる そして再び倒れる
ずる賢くならず ただ年を取るだけ
そして自らの 体を壊す
すでに一度 壊れている体を
*繰り返し×2
来いよ 俺と踊ろう 朝の光が差すまで
嵐が 太陽と交わるその場所で
来いよ 俺と踊ろう 人生のただ中で
誰かが俺を 寂しいと思ってくれるその場所でさ
Mein liebster Feind
俺の愛すべき敵
俺の鏡の姿はむき出しで ありのままだ
しっかりと光は その皺を映し出す
俺には力が そして憤怒も欠けている
一撃で その連中をばらばらにするには
だがすべての傷が 俺に残り
過ぎ去った日々を 思い出させる
すべての刺し傷 切り傷が
俺の心に傷跡を残す
次のやつはどいつなんだ?
俺の獲物に触れ
頭から冠を引きずりおろすやつは?
俺より速いと思っている やつは誰だ?
次の石は おまえの首筋に当たる
俺は一人では 絞首台に架からない
だがこの獣は あまりに大きく強く
俺の日を ぶちこわした
俺は策略と 悪知恵で
待ち伏せ場所を 用意してやろう
力があるのは誰で 勇気があるのはどいつだ?
その証拠を持ってくるやつはどこにいる?
俺は簡単な獲物にはならない
たとえハゲタカが頭上を飛び回っていたとしても
次のやつはどいつなんだ?
俺の獲物に触れ
頭から冠を引きずりおろすやつは?
俺より速いと思っている やつは誰だ?
次の石は おまえの首筋に当たる
俺は一人では 絞首台に架からない
Auf's Leben
人生を飲もう
おまえの若さでもって 俺は飲みたい
ただ一杯だけ 忘れさせてくれる一杯を
別れの時にも 始まりのことを考えていたい
記憶が 薄れてしまうまで
おまえの無邪気さでもって 生きていきたい
今この場所を そしていつまでも
お前の鼓動は 俺の脈を震えさせる
そして次の白昼夢が すでに俺を運び去っている
この一杯を飲んでくれ
俺たちは 人生を飲み干す
俺のグラスを受け取ってくれ
おまえの分を俺にくれたのだから
おまえの眼で 世界を見たい
遠くへ連れて行ってくれるまなざしで
もし俺たちが離れ離れになるなら
もはや後に残るものは 何もない
おまえの確信を頼りに 生きていたい
もはやこんな歳になってしまったと 知っているが
ひとかけら おまえから奪わなければ
おまえを選んだという 喜びのために
この一杯を飲んでくれ
俺たちは 人生を飲み干す
俺のグラスを受け取ってくれ
おまえの分を俺にくれたのだから
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